こんにちは、元農協職員の鈴木です。
現在は大手ホワイトに勤めることができ、穏やかに暮らすことができています。
よく分かります!農協の給料は本当に安いですよね?僕も10年農協に勤めていたので、安い給料は身に染みて分かっています。
今回は、農協の給料についてのお話しです。
目次
農協の給料が安いのは本当か?
農協職員ならば、当然農協の給料が安いことを知っていると思いますが、なぜか世間ではあまりそう思われていない印象を受けます。
知恵袋や掲示板などを覗いてみると、下記のような書き込みが確認できます。
- 部長クラスは年収800万越え
- 40代で年収500万以上
- ボーナスは年5か月
はっきり言いますが100%嘘です。もしくは誤解された情報です。こんなに貰えません!!(もしもこんなに貰っている職員さんがいましたら、すみません。)
僕が勤めていた農協は比較的大きな規模でしたが、そこでは50代の支店長の手取りが約25万円でした。ちなみに、その支店長からは、「農協に未来はないから転職するなら応援するよ」と日頃から言われていました。
また、誤解されている情報の一つに農協組織の多さが関係していると感じます。農協と一口に言っても組織が多くあることは関係者でないと分からないからです。
下の図をご覧ください。
このように、農協は上部組織(全農・連合会)と下部組織(単協=地域にある農協)に分かれています。
下部組織が農協を支えているわけではありますが、単協は低い給料に大量のノルマを強いられています。
反対に上部組織は高い年収をほこり、ノルマはほとんどありません。
そのため、「全農や連合会は給料が高い」ですが「単協は給料が安い」という言い方が正しい情報です。
当時は、「全農と連合会が羨ましい!」とめちゃくちゃ思っていました…。
農協の給料が安いという事実
地域による違いは多少あると思いますが、農協の年収はおおむね「年齢×10万円」というのが職員暗黙の了解だったりします。
35歳×10万円=年収350万円
一般的な年収は35歳で450万円と言われており、同じ年齢と比較すると100万円も安い年収になります。
そして重要なのが、ここからノルマの自爆でさらにお金が減ることです!これが本当に辛いです!
年間100万円近く自爆する職員もいるくらいで、稼いだお金を農協に返すというのが当たり前の感覚になっていたりもします…。ですが、「ノルマの自爆は違法」であることを忘れてはいけません。
余談ですが…、ワーキングプアという言葉を知っていますか?
年収200万以下の所得者を指し、働く貧困層とも言われています。農協の年収は年齢×10万円です。そこから年間100万円の自爆をマイナスすると…。
ちょっと言い過ぎかもですが、単純計算で30歳までは社会的に貧困層であるワーキングプアに該当すると言ってもいいかもしれません…。
すみません!これはさすがに言い過ぎですね。申し訳ありません。
農協は給料が安い上に自爆がある
先程少し触れましたが、農協のノルマの自爆は安い給料に拍車をかけます。
月2~3万円の自爆は普通にあることなので、年間自爆額は少ない人でも30万円はあるのではないでしょうか?
ちなみに、ノルマ自爆額の平均は5~7万円です。
農協職員ではない人にノルマ自爆の話をすると、「最終的には退職金でカバーできるからいいんじゃないの?」と言われることもありましたが、正直退職金をしっかりもらっても微妙です。
僕がいた農協の退職金は定年退職時点で約1500万円でした。
月の自爆額を3万円とすると、年間で36万円。22歳から60歳まで勤めた場合、合計約1300万円の自爆になります。
たしかにペイできているかもしれませんが、200万円の退職金ということになります(自爆額を少なく見積もっているので、もしかしたらマイナスになるかもしれません)。
農協の給料が安い理由
- 農協は組合員のための組織
- 残業代が出ない
- 手当が安い
上記の通りです。掘り下げます。
農協の給料が安い理由①農協は組合員のための組織
農協は組合(農家)ための組織であり、組合員ファーストと言えます。
そのため、農家の所得向上を優先するという大義があり、職員の給料が農家の平均所得を軽く上回った水準では農家は納得してくれないでしょう。
それが原因で農協離れがより深刻化してしまっては、元も子もありませんからね。
また、職員も農家の人が多いため、農協からの給料が収入の全てではない人が多く、その点も理由になっています。
ちなみに、僕は非農家だったので…、苦しかったです。
農協の給料が安い理由②残業代が出ない
全ての農協がそうだとは言い切ることはできませんが、僕の知る限り残業代は基本的に出ません。
ですが、もちろん残業はあります。
僕は在職中は毎日21時頃まで仕事をするのが普通でした。
月に残業時間が60時間ほどになり、平均残業時間は月40時間と言われているので20時間オーバーしていると言えます。60時間分の残業代が出ていれば、もう少し給料が良かっただろうと思いますが、1円も出たことがありませんでした。
農協の給料が安い理由③手当が安い
僕のいた農協では、安い給料のうえに手当関係も安い金額でした。
扶養手当の金額が安く、いつも先輩が嘆いていたのを覚えています。というか、無いに等しいくらいの金額でした…。
また住宅手当というものは一切なく、一人暮らしだろうが持家だろうが関係なく0円でした。30歳を超えても実家で生活し、親を頼りにするほかない、という人もおり、農協での一人暮らしは諦める人が大半という感じでした。
農協の給料が安いから結婚ができない
農協の若手職員には共通した悩みの一つではないでしょうか?
まず、農協だけの給料では家族養うことはちょっと苦しいかもしれません。そのため、基本な共働きになるというのが多かったです。
さすがに、給料が安いからという理由で結婚が破談になったり、結婚を躊躇するということは聞いたことがなかったですが、倹約生活必須という感じです。
とはいえ、農協職員であっても、共働きではなかったり、余裕のある暮らしをしている人もいましたが、それは兼業農家や実家が農家であるという人たちでした。
農協の給料が安いから副業をする
大々的に副業をする人はいませんでしたが、農協は副業を禁止としていません。副業OKです!
そのため、僕の周りの職員はよくアルバイトに行っている人がいました。
家族を養うため、早朝に新聞配達してから出勤している先輩や休日は建設の手伝いに行っている方もおり、まるで漫画に出てくる苦労人のように感じました。
僕はここまではできなかったです。正直、尊敬します。
とはいえ、雇われる副業は認められていない場合もあるので、就業規則等で確認してから行うように注意しましょう。
農協の給料が安いから転職を考える
給料が安いくらいで転職するな!と言う人もいるかもしれませんが、実際に働いているのは自分ですし、その給料で生活するのも自分です。
「農協の給料が安い!」
「これでは生きていけない!」
と感じるなら、転職を本気で考えても良いと僕は思います。
- 貯金ができない
- 家族を養っていく自信がない
- 趣味にもう少しお金をかけたい
- もっと給料をもらいたい
- 生活レベルを上げて暮らしたい
非常に残念なことに、農協から転職する以外には年収をあげる方法はありません。
また、農協の給料が今後上がっていくとも思えません。
僕は農協の給料が安いから転職した
農協の給料が安いのに加え、ノルマや自爆に耐え続ける人生に限界を感じて、僕は転職しました。
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こんにちは、元農協職員の鈴木です。 10年農協に勤めましたが、在職中から「農協を辞めたい」という気持ちがめちゃくちゃあり ...
農協の給料が安い!生活できない!あなたはどうする?
最後に一つあり、それが下記です。
農協の安い給料があなたの一生の仕事ですか?あなたが希望する企業は必ずありますよ!
上記の通りです。
農協の給料が安いと不満を抱いているなら、高い給与体系の企業に転職するというのも一つの手かもしれません。
- 世間的にもステータスとなる高い給料
- 将来に向けてしっかり貯金ができる給料
- 友人や同級生に負い目を感じない年収
あなたも感じているはずだとは思いますが、農協の給料が今後増えていくとは難しいのかなと思います…。